硬膜外癒着剥離術(Raczカテーテル)

  • 「長年、腰や足の痛みに悩まされている…」
  • 「治療を受けているのに痛みが取れない…」
  • 「手術は怖いけど、痛みを取りたい…」

このような慢性的な痛みは硬膜外癒着剝離術(Raczカテーテル)で改善できるかもしれません。

硬膜外腔癒着剥離術(Raczカテーテル)とは?

神経は硬膜と呼ばれる神経を保護する膜で覆われており、硬膜と脊椎の間のスペースを硬膜外腔と呼びます。脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎の手術などによって硬膜周辺に炎症が生じ、炎症が治癒していく過程で硬膜外腔に癒着が起こります。

硬膜外腔に癒着が起こると、腰や足の痛みが生じる場合があります。また、通常の神経ブロックで治療薬を注射しても、癒着が強いと神経に届きにくく、十分な効果が得られない場合があります。そのような場合に使われるのが、硬膜外腔癒着剥離術です。1989年に米国で医師のRaczらが初めて使用して以来、欧米およびアジアの30以上の国々で、約200万症例に用いられてきました。

硬膜外癒着剥離術とは、硬膜外腔にRaczカテーテル(スプリングガイドカテーテル)と呼ばれる特殊な医療器具を挿入し、生理食塩水などで癒着を剥がし、炎症を洗い流し、神経のひっかかりをとることにより腰や足の神経症状を緩和することを目的とする治療方法です。

当院では、「日帰りで手術」で行っております。

硬膜外腔癒着剥離術の仕組み

脊柱管の一番下の部位(仙骨裂孔)から、病変部の神経根付近までカテーテルを挿入します。カテーテルに生理食塩水を注入(1部位につき、腰部で2cc、頚部で1cc)し、物理的に癒着を剥がします。この処置によって、線維化後の組織を柔らかくしたり、炎症による瘢痕組織が神経根部の周囲に残っていた場合にこれを除去したりして、神経の正常な機能と血流を回復させることが可能です。また、神経根部の周辺にある不要な組織が除去されるため、局所麻酔薬や炎症を鎮めるために用いるステロイド薬が拡散しやすくなり、神経への浸透性も高まります。

硬膜外腔癒着剥離術の適応となる症状

硬膜外腔癒着剥離術は、腰椎やその周りの神経に関連する慢性の疼痛に対して効果的です。具体的な状態として、以下のようなものがあります。

  • 椎間板ヘルニア
  • 神経根部の障害による重度の慢性痛
  • 脊椎手術後に残った神経症状
  • 手術治療を望まれない場合

硬膜外腔癒着剥離術のメリット・デメリット

メリット

  • 硬膜外腔癒着剥離術の主な利点は、神経に直接薬を届けることで痛みを迅速に緩和し、長期間の効果が期待できること、そして手術に比べてリスクが低いことです。具体的には以下の通りです。
  • 痛みの迅速な緩和

    薬物を神経に直接投与するため、効果が速く、痛みを迅速に軽減できます。

    長期間の効果

    単回の神経ブロックよりも効果が持続することが期待できます。

    リスクの軽減

    手術に比べて、体への負担が少なく、リスクを抑えることができます。

    日帰り手術が可能

    局所麻酔で行えるため、日帰りでの治療も可能です。

    日常生活への早期復帰

    治療後、デスクワークなどの軽作業は翌日から可能で、運動も徐々に再開できます。施術から1~3週間経過後は、フィットネスやスポーツを徐々に取り入れても構いません。

    手術回避の可能性

    難治性の痛みに悩む患者さんにとって、手術を回避できる可能性があります。

    カテーテル形状の安全性

    カテーテル先端は柔らかく、神経や血管を傷つけにくい形状になっています。
    これらの利点から、ラッツカテーテルは、慢性的な痛みに苦しむ患者さんにとって、有効な治療選択肢となり得ます。

デメリット

硬膜外腔癒着剥離術は身体に対する侵襲度が比較的低い方法ではありますが、次のような有害事象が誘発される可能性もゼロではありません。

血管内注入、神経損傷、カテーテルによる硬膜・くも膜穿刺、術後疼痛、硬膜外血腫、感染、硬膜外膿瘍、頭痛、麻痺、膀胱直腸障害、液圧による脊髄損傷、薬液の硬膜下・クモ膜下注入など。

万が一、施術によって合併症が生じると、短期の入院が必要になる場合もありますが、その際には、近隣の病院への手配など適切に対応させていただきます。

注意点と制限事項

硬膜外癒着剥離術は、あくまで痛みの軽減を目的とした一時的な治療であり、根本的な疾患の治療ではありません。症状が完全には解消しないこともあります。

硬膜外腔癒着剥離術の治療の流れ

1.処置はレントゲン室で行います。レントゲン室の処置台にうつ伏せで横になっていただきます。

2.針を刺す部位(仙骨裂孔)を消毒し、滅菌した布をかけます。

3.針を刺す部位に局所麻酔薬で表面麻酔をしてから専用の針を刺します。

4。専用の針からカテーテルを挿入し、リアルタイムにレントゲン画像を見ながら、カテーテルを慎重に脊髄神経の近くに進めていきます。

5.カテーテルが正しい位置に配置されたら、カテーテルから造影剤を注入し、癒着している部位(造影剤を注入しても神経が造影されない)を確認します。

6.カテーテルからの生理食塩水を注入したり、カテーテルの先端で少しずつ癒着部位を剥がしたりしながら、神経周囲の癒着した部位を拡げていきます。剥離操作が終了したら、再度造影剤を注入し、癒着が十分剥離できたかを確認します。

7.疼痛を和らげるための薬物(ステロイド薬や局所麻酔薬)を使用します。これにより、神経の炎症や痛みが軽減されます。

8.カテーテルは慎重に取り外し、治療終了となります。

9.治療時間は30分から1時間前後です。治療終了後、処置室のベッドに移動し、ベッドで12時間ほどお休み頂いた後、治療効果の評価を行います。自分で歩行が可能になったことを確認の後、帰宅していただきます。

硬膜外腔癒着剥離術にかかる費用

硬膜外腔癒着剥離術は、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどで硬膜外腔が癒着した場合に、癒着を剥がす治療法です 。

この手術は、保険適用で受けられる治療であり、一般的に手術給付金の対象となります。

手術給付金は、手術の種類や保険契約の内容によって、給付対象となるかどうかが決まります。

手術給付金を受け取るためには、保険会社に手術給付金の請求手続きを行う必要があります。具体的な手続き方法については、加入している保険会社に確認してください。

硬膜外腔癒着剝離術   1割負担 11,000円
2割負担 22,000円
3割負担 33,000円

※別途、初診料・再診料・薬剤料・検査料が発生します。

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